発毛外来ではどんな薬を処方するの?

発毛外来は10年前まではなかった診療科です
発毛外来という診療科が日本の各地にできたのは10年ほど前からです。日本皮膚科学会が「AGA治療ガイドライン」を初めて作ったのが2010年でした。高度な医療が発達している日本でも、薄毛の治療はごく最近始まったばかりなのです。

 

その理由は、それはまでは男性の薄毛、若ハゲを治療する薬がなかったからです。薬が見つからないうちは医者は薄毛を病気とは認めませんでした。命に別条がない症状ということもあり、「遺伝です」で片づけられていたのです。

 

画期的な薬の登場で初めて若ハゲが病気と認知されました

しかし、ある薬が開発されてそれが2005年に日本の厚労省でも承認されてからは「髪の悩みはお医者さんで相談しよう」ということになり、AGA(男性型脱毛症)という立派な(?)病名もつけられました。

 

その薬がフィナステリドという内服薬で、発毛外来に行ってAGAと診断されたら必ずこれが処方されます。フィナステリドは5αリダクターゼ阻害薬と言われる薬で、男性ホルモンのテストステロンがDHT(ジヒドテストテロン)という脱毛をひき起こす別の男性ホルモンに変換されるのを防ぐ作用があります。

 

テストテロンをDHTに変換するのが、頭頂部や前頭部に多く存在する5αリダクターゼU型という酵素です。遺伝的にこの酵素を多く持っている男性には多くのDHTが産生され、それが脱毛、若ハゲの原因になるのです。フィナステリドはこの男性ホルモン変換酵素の働きを阻害してDHTが作られるのを阻止することで脱毛を予防します。

 

もう1つ、発毛外来でかならず処方されるのがミノキシジルという頭皮に塗る外用薬です。これはフィナステリドよりもう少し前に開発された薬で、毛根の働きを活性化して発毛を促進する作用があるといわれています。

 

ガイドラインで推奨されている薬は2つだけ

AGA治療ガイドラインにもこの薬が「行うことを強く勧められる」という推奨度Aにランクされています。ガイドラインで積極的に使用が奨められている治療薬はこの2つだけで、あとは「行うよう勧められる」推奨度Bに「自毛の移植手術」があるだけです。

 

同じ発毛外来でも病院によって、遺伝子検査をしたり、回復の過程を見るために写真撮影をしたり、ヘアケアのアドバイスやカウンセリングをするなどの手厚い治療をする所もあれば、薬をもらいにいくだけみたいな所もあります。それは治療費に反映されるので、選択は患者しだいですが、フィナステリドとミノキシジルが処方されるのはどの病院でも変わりありません。

 

市販の育毛剤は効くの?

上記の通り、日本国内外で男性の抜け毛防止、発毛効果が認められているのは、フィナステリドとミノキシジルです。日本ではポリピュアやモウガなど育毛効果をうたった育毛剤がネットを賑わっていますが、いずれの成分も含まれていません。

 

それらの育毛剤は医薬品ではありませんので、AGA治療薬ではありません。

 
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