フィナステリドとは?

フィナステリドは21世紀に入って承認されたAGAの画期的な治療薬です。これまで男性の若はげには有効な治療法はありませんでしたが、フィナステリドの開発によって医学的な治療のめどが立ち、「発毛外来」ができるきっかけになりました。

 

フィナステリドは脱毛の原因になる男性ホルモンのDHTの産生を抑制する作用があります。男性ホルモンのテストテロンは5αリダクターゼという酵素によってDHTに変換されますが、フィナステリドはこの酵素を阻害することによってDHTが作られるのを防ぐのです。

 

フィナステリドは長期使用によって、AGAの人の約9割に、脱毛の停止や育毛の効果が認められています。

 

フィナステリドはどのように開発されたか

フィナステリドは脱毛を促進する悪玉男性ホルモンDHTを抑制する画期的なAGA治療薬で、病院に発毛外来ができるきっかけになった薬です。

 

フィナステリドもミノキシジルと同じで予期しなかった副作用が開発のきっかけになりました。米国のメルク社が開発して1992年に前立腺肥大の治療薬として承認されたフィナステリドに、脱毛症を改善する効果があることが明らかになったのです。

 

これが育毛治療(脱毛防止)のパイオニア『プロペシア』の誕生です。今ではフィンペシアやエフペシアなど、安価なジェネリックが販売されています。

 

そこで男性型脱毛の治療薬として再開発されることになり、約5年間の研究と臨床実験を経て1997年に米国FDAに認可されました。研究によると、フィナステリド(1mg)を服用した男性の90%に効果が認められました。48%の人に脱毛の停止と毛髪の再成長が見られ、42%に脱毛が停止が認められたのです。

 

日本でも1年間の臨床試験を経て2005年に厚生労働省に承認されました。現在は世界70ヶ国以上で承認・販売されています。

 

現在、病院でのAGA治療(育毛外来)は、『フィナステリドの内服とミノキシジルの外用』が2本柱になっていて、日本皮膚科学会のAGA治療ガイドラインでもこの2つが推奨度Aに指定されています。

 

フィナステリドはなぜ脱毛を防ぐ効果があるのか

前立腺肥大や男性の脱毛症を治療するフィナステリドは「5αリダクターゼU型」という酵素を阻害する薬です。5αリダクターゼにはT型とU型があり、T型が全身に分布しているのに対してU型は前頭部や頭頂部の頭皮と前立腺、生殖器だけに分布しています。

 

5αリダクターゼU型は男性ホルモンのテストテロンをDHT(ジヒドテストテロン)に変換します。DHTは思春期には生殖器の発育に重要な役割をするホルモンですが、それ以後は毛髪サイクルの成長期を短縮して脱毛を起こしたり、前立腺を肥大させるなどの悪影響があるので『悪玉男性ホルモン』とも言われています。

 

フィナステリドは5αリダクターゼU型の作用を阻害することによってDHTの産生を抑制し、脱毛を防ぎます。1本の毛髪には3〜5年の寿命があり、そのうちの退行期(2週間)と休止期(3〜4カ月)を除くほとんどの期間は髪が少しずつ伸びていく成長期です。DHTはこの成長期を極端に短くする作用があり、それがAGA(男性型脱毛症)です。

 

AGAになると髪の成長期が短くなるので、太く長い髪の毛が徐々に少なくなり、細く短い毛が増えてきます。髪のボリュームがなくなり地肌が見えてくるのはこのためです。フィナステリドはDHTが作られるのを抑制することでヘアサイクルを正常にする効果があるのです。

 

フィナステリドの効果には個人差がありますか?

個人差という点では、まず頭髪が薄くなることに大きな個人差があります。男性の一定割合が若いうちから毛髪が薄くなる原因は、男性ホルモンの1種のDHTが多いか少ないかによります。

 

またテストテロンからDHTが多く作られるかどうかは遺伝的に決定されています。男性ホルモン受容体の感受性の強い遺伝子をもっている人は、5αリダクターゼという酵素が効率的に作用して多くのDHTを産生してしまいます。

 

この感受性の度合いには強い人から弱い人まで広い幅があり、感受性の強い人ほど若い年代から脱毛が進行する傾向があります。

 

しかし、この感受性の強い人は逆に5αリダクターゼを阻害する『フィナステリド』が効果を発揮しやすい人でもあります。DHTの産生を抑制することで脱毛を止めることがより期待できる人なのです。

 

フィナステリドがAGAの症状のある人の約9割に効果が見られるのは、男性ホルモン受容体の感受性の強い人がAGAになりやすいからにほかなりません。ただしその効果の程度にはやはり個人差があります。その理由はホルモン感受性の違いの他にも薄毛を進行させる要因があるからだと考えられますが、まだ解明されていない点も多くあります。

 

フィナステリド配合のAGA治療薬には、プロペシアや、プロペシアジェネリックのフィンペシア、エフペシアなどが人気です。

 

フィナステリドを使うとどれくらいで効果があらわれますか?

AGAの原因であるDHTは毛髪サイクルの成長期を短くすることで徐々にに太く長い毛髪を減らして、か細く短い毛を増やしていきます。それによってしだいに地肌が目立ってくるのです。

 

この薄毛は数年から十数年という長い期間をかけて進行します。フィナステリドはDHTが作られるのを抑制することで脱毛を防ぐ薬ですが、それによって毛髪サイクルが正常になったとしてもその効果が目に見えるには、やはりかなり長い期間が必要です。

 

薄くなるのも徐々になら、濃くなってくるのも徐々になのです。よく見ると効果が感じられるという程度でも半年はかかります。一目で効果が実感できるまでには2年、3年とかかることを覚悟しなければなりません。

 

また、ある程度効果が上がったら継続して使用することが必要です。フィナステリドでテストテロンの還元酵素である5αリダクターゼを阻害しないと、またDHTが作られて脱毛をひき起こしてしまうからです。

 

AGAの約9割の人に効果があると言われるフィナステリドですが、1年以上使用してまったく効果がない場合には使用の継続を検討する必要があるでしょう。しかし、効果が見られた場合はそこで中止せずに使い続けることが大切です。

 

フィナステリドを使うときの注意点と副作用

フィナステリドの副作用といわれるものの中で使用者がもっとも気になるのが勃起不全だと思います。しかし、フィナステリドによる勃起不全の副作用といわれるのはそのほとんどが前立腺肥大の治療薬として1日5mgを投与した場合のものです。AGA治療薬として1日1mgを服用する程度では、勃起能力への影響はプラセボグループと大きな差は認められません。

 

また性欲減退を副作用に上げる人もいますが、フィナステリドはテストテロンに作用する薬ではないので、性欲との関係は考えられません。DHTという男性ホルモン1種に作用することから、そのようなイメージがあるのだと考えられます。

 

そのほか、胃部不快感、肝機能障害、乳房の女性化などの副作用も、ほとんどは5mg投与での副作用で、1mgではやはりプラセボグループとの大きな差はありません。

 

注意しなければいけないのはフィナステリドの使用は成人男性に限られるということです。まだ生殖器などの発育の途上にある思春期の男性は使うことができません。フィナステリドが産生を抑制するDHTは第二次性徴の発現に重要な役割を果たすホルモンだからです。

 

またフィナステリドは女性の育毛には効果がないばかりでなく、妊娠中の女性は胎児に重大な影響を与えるので決して服用してはいけません。服用だけでなく薬に近づくこともさけるべきだと言われています。

 

<体験レポート>フィナステリドで脱毛を止めました

1年目から効果が実感できるようになりました - 32歳 会社員

 

ロゲインジェネリック(ミノキシジル5%)とフィンペシア(フィナステリド)を使いはじめて1年半になります。20代の前半から額の生え際の後退と頭頂部のボリュームが減ってきたことを感じていましたが放置、20代の後半にリアップを使用した時期がありましたが、値段が高いので中断していました。

 

30代に入って頭皮が明らかに透けて見える薄毛をいよいよ放置できなくなり、上記の2商品の使用を始めました。

 

使用後半年くらいたつとそれまで恐ろしく感じるほどだった脱毛の数が目に見えて減りました。朝枕カバーに着いた毛髪の量を見るとそれは一目でわかります。

 

それに気を良くして、使用を続行するとともにシャンプーなどのヘアケアも頭皮に優しいやり方を意識するようになりました。タバコは元々吸っていません。

 

このような育毛を続けて1年目くらいには地肌の目立ちが明らかに少なくなってきました。それは行きつけの散髪屋にも、同僚にも言われたので私の勘ちがいではありません。というか勘ちがいかどうかというレベルではない明らかな変化だったのです。

 

現在は使用を始めてから1年半になります。まだ完全に地肌が見えなくなるまでは遠い道のりがありそうですが、その希望を抱かせる回復ぶりだと思っています。

 
TOPへ