ステロイド外用薬を誤解してる人は多数
間違ったマスコミのキャンペーンから生まれた誤解
ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎などのアレルギー性の炎症には欠かせない治療薬です。免疫の過剰反応を抑制してすみやかに腫れや痒みなどの炎症を抑える効果があります。しかし、一方ではステロイド剤はこわい副作用があるから使うべきではないという人がいて、自分や赤ちゃんのアトピー性皮膚炎をステロイド剤を使わずに治そうと苦労している人がいます。
ステロイド外用薬はこわい薬だというネガティブキャンペーンは、最初は悪意のないマスコミの報道から始まりました。1990年代のことです。悪意はないけれど、センセーショナルに正確さを欠く報道をしたために、一般人の間に誤解が広まりました。
内服薬の副作用との混同が目立つ
このマスコミのキャンペーンのいちばんの問題点は、膠原病などの治療に使うステロイド内服薬の副作用を、アトピー性皮膚炎などの治療に使う外用薬にもあるかのように報道したことです。記者の知識不足と大げさな物言いがあいまって、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんを持つお母さん方の多くに間違った知識を与えてしまいました。
この間違いを利用して「ステロイド剤を使わないでアトピーを治そう」といういわゆる「アトピービジネス」も登場して、ステロイド外用剤に対する誤解はさらに広まりました。
ステロイド剤の副作用として指摘されている、脂肪の蓄積によるムーンフェイス、カルシウムを排泄してしまうことによる骨粗しょう症、糖代謝の異常による糖尿病などは、すべて点滴や内服薬として長期間、大量に投与したときの副作用です。皮膚が黒くなるというのもそうです。
ステロイド外用薬を使わずにアトピーを治す苦労
ステロイド外用薬は以上のような副作用には無縁ですし、正しく使えばその他の副作用も心配ありません。むしろ、ステロイド外用薬を使わずにアトピー性皮膚炎を治療しようとするのは赤ちゃんやお母さんの生活の質を著しく低下させることになります。
ステロイド外用薬は短期間で効果を発揮する薬なので、連続使用は1週間くらいにし、それで効果がみられない場合は他の原因なども考えられるので、いちど医師に相談しましょう。使用する量は、少なすぎると効果が出にくいときがあるので必要なだけの量をきちんと使うようにしましょう。