肝斑を改善するトラネキサム酸
肝斑とは?
肝斑は皮膚の色素沈着の一種ですが、紫外線が原因でできる普通のシミとは違う次のような性質があります。
・顔の左右対称にできる
・女性特有のシミでホルモンバランスの変化で濃くなったり薄くなったりする
・シミの輪郭がはっきりしない
・通常のスキンケアでは改善しにくい
・レーザー治療では消えない
肝斑と女性ホルモンの関係は?
肝斑は、月経前の黄体期や妊娠中など女性ホルモンの分泌が盛んになると目立ってきます。これは女性ホルモンがタンパク質分解酵素の「プラスミン」を発生させ、そのプラスミンが皮膚にあるメラノサイトを刺激してメラニン色素を産生させるからだと考えられています。
紫外線が原因でできるシミは50代以降に増加してきますが、肝斑は逆に50代からは減少してきます。
シミと肝斑はケアが違うの?
顔のシミのように見えるものの4割近くが肝斑だと言われています。肝斑は普通のシミと違って、保湿や紫外線対策などスキンケアでも美白化粧品でも改善しません。美白化粧品やレーザー治療で肌に刺激を与えると、むしろ悪化する場合もあります。
肝斑も紫外線の影響で濃くなるので紫外線対策は重要ですが、それだけではなくならないのが肝斑です。
肝斑の治療はどうするの?
肝斑の治療には内服薬としてトラネキサム酸が使用されています。トラネキサム酸トランサミン酸とも呼ばれ、元来は止血剤や抗炎症薬、抗アレルギー薬として広く使用されている薬ですが、メラニン色素の産生を抑制する働きもあるため、近年では美容クリニックなどでハイドロキノンとともに美白成分の定番となりました。
トラネキサム酸は第一三共が美白商品としてトランシーノを開発したことで日本でも脚光をあびました。トランシーノにはトラネキサム酸が150mg配合されており、対してトラネキサム酸500は成分が500mg配合されています。
女性ホルモンのバランスが乱れるとプラスミンという物質が作られて、それがメラノサイトを刺激して肝斑を濃くします。トラネキサム酸にはこのプラスミンを抑制する「抗プラスミン作用」があります。大きな副作用がない安全な薬です。
トラネキサム酸と同時にL-システンを摂取するのも有効といわれています。L−システィンはアミノ酸の1種で、メラニンの産生を抑制するほかに肌のターンオーバーを正常化する作用があります。
肝斑に効果がある外用薬には、強力な漂白・還元作用があるハイドロキノンや肌のターンオーバーを促進してメラニン色素を排出するトレチノインがあります。どちらも美容クリニックなどで使用されている薬ですが、効果が大きいぶん肌への刺激も強いので使用には注意が必要です。