ドライスキン(秋冬の皮膚トラブル)の対策は?
ドライスキンとは?
地球上の生物は海から発生しました。そのうちのいくつかの生物はやがて地上で暮らすようになりましたが、そのとき一番問題になったのが「乾燥対策」です。その対策は生物によって様々ですが、ヒトは皮膚の角質層がその役目を果たしています。
角質層は死んだ細胞ですが、脂質を含んだ細胞が何層にも重なることによって水分を保持する優れた能力があります。また、角質には体の内部から汗が供給され、皮脂が表面をコーティングすることで水分を保持しています。
この水分を含んだ層(角質層)がヒトを外部の乾燥した空間から遮断するバリア層です。しかし、秋から冬になって気温が下がると、皮膚への汗や皮脂の供給が減ります。さらに空気が乾燥してくるので角質の水分が奪われやすくなります。
このような環境のときに、例えばお風呂で身体を洗うときにタオルでこすりすぎて角質層をはがしすぎたりすると、皮膚のバリア機能が低下して乾燥した環境から肌を守ることができなくなります。これが秋冬に多い皮膚トラブルのドライスキンです。
皮膚のバリア能力を大幅に高めるにはヒルドイドなど保湿剤が用いられます。ヒルドイドは医薬品扱いのため、薬局などでは購入できません。
ドライスキンの症状は?
ドライスキンになると、まず皮膚がかさついて、はがれた角質が白く粉を吹いたように見えるようになります。乾燥肌にまず出る症状は痒みです。とくにお風呂に入ったときや布団に入って温まると痒みが強くなります。
とくに脚のすねや、二の腕、背中など皮脂の少ないところに痒みがでやすく、寝ているときに無意識に掻いて傷をつけてしまうこともあります。
角質層にこのようなトラブルが生じると、雑菌が角質層を通り抜けて侵入したり、免疫の反応が過剰になったりして、皮膚の赤み、炎症、湿疹、化膿などへトラブルが進行することがあります。
ドライスキンの対策は?
ドライスキン対策でいちばん大切なことは、日常生活で角質をはがす行為を止めることです。お風呂で身体を洗うときにタオルでゴシゴシこすると、お湯で潤った角質をはがしすぎることになります。もちろん洗顔のときはより気をつけて優しく洗う必要があります。
洗顔後は化粧水で保湿してから乳液・クリームで水分を保つようにケアします。身体にも痒みの出やすいところにヒルドイドクリームなど保湿力の優れた保湿クリームを塗っておきましょう。
お風呂の温度は40℃以下のぬるめにします。熱いお湯はかゆみを誘発します。直接肌に触れる下着は木綿素材の柔らかいものを使用しましょう。静電気を発生する化学繊維は痒みを誘発します。
皮膚トラブルの治療は?
痒みがだけでなく赤みがでたり炎症を起こしたときは、患部に刺激を与えないようにしながら、べテノベート系クリーム(アンテベート、リンドロンなど)ステロイド剤の軟膏などをぬって治療します。
ステロイド剤は痒みや炎症をすばやく抑える効果があるので、症状が治まったら再発しないようにふだんのスキンケアやヒルドイドクリームなど保湿剤で乾燥対策に注意しましょう。
患部が化膿しているときはステロイド剤に抗生物質が配合された軟膏を使用します。