運動不足が体に良くない理由は?

人は動き回って食料を探すのがノーマルな状態
「食べすぎに注意しよう」「適度な運動をしなさい」、健康に関して聞き飽きたお説教というアンケートを取ったら、この2つがトップを争いそうです。しかし考えてみると、人間が動き回らなくても(運動しなくても)食べすぎるくらいの食糧を手に入れることができるようになったのは、遺伝子レベルで考えるとごくごく最近の出来事です。

 

つまりヒトの身体は運動せずにたっぷり食べるということに、まったく慣れていないのです。これが運動不足が身体によくないいちばんの理由です。こういう慣れないことをすると私たちの身体にはさまざまな不調が生じてきます。

 

食料のあるときにたっぷり食べてそれを脂肪として体内に蓄えるというDNAは、昔は役に立ちましたが現代では邪魔ものです。歩き回って食料を探さなくても三度の食事ができるとなれば、摂取したエネルギーは消費されずに貯まる一方です。

血液の不健康が血管を老化させます

食料は消化されて血液にブドウ糖として取り込まれます。これが体を動かすエネルギーになりますが、全身にそれを運ぶために必要なのが膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。食事をして血糖値が上がるとインスリンが分泌されて全身の細胞にエネルギーが供給され、余ったエネルギーは『脂肪』として蓄えられます。

 

しかし、食べるばかりで運動しない状態が長年続くと、膵臓が疲労してインスリンの分泌が悪くなったり、分泌されたインスリンの効き目がわるくなったりします。その結果おきるのか、食事の後にいつまでも血糖値が下がらないという高血糖症状、つまり糖尿病です。

 

運動不足の状態が続くと、血糖値だけでなく、血液中の中性脂肪やコレステロールも増えます。要するに大昔は不足しがちだった血液成分の多くが過剰気味になるのです。この不健康な血液が血管を通って全身に運ばれるわけですから、「運動不足は身体に良くない」のです。とくにその通り道である血管がダメージを受けます。それが動脈硬化です。

筋肉と骨が弱くなる

宇宙という何カ月も重力のないところで暮らした宇宙飛行士は、地球に帰還したらリハビリが必要です。環境的に極端な運動不足状態に置かれていたので、筋肉も骨も弱くなっているからです。

 

また、運動不足で筋肉が弱るというと、ふつうは骨格筋のことを言いますが、心肺機能が弱るという点にもそれに劣らず注意が必要です。心臓も筋肉の1種で適度に動かしてやることで能力が高まり、健康が維持されます。

ホルモン分泌や免疫力にも影響

そのほかに運動不足は性ホルモンの分泌を低下させて、うつ病やEDの発症リスクを高めると言われています。

 

また、免疫力や抗酸化作用、DNAの修復能力も運動不足によって低下するので、さまざまなガンの発症リスクも高くなります。

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