肥満が引き起こす病気を知ろう!
肥満は血管の数値を異常にする
太ると何キロもの、あるいは何十キロもの脂肪という「荷物」を身に着けて行動することだから、心臓に負担がかがります。筋肉にも負担がかかって腰痛などが起きやすくなります。しかし肥満のほんとうの問題点はこういう物理的なことより、「血液と血管が不健康になる」ということにあります。
血液は全身に栄養を運ぶものですが、その栄養はもちろん食べ物として身体の外部から摂りいれます。食べすぎると血液に含まれる栄養素も過剰になり、それが血管や肝臓、膵臓、腎臓などのさまざまな組織に悪影響を与えます。
血糖値が上がる
たくさんの食物を食べることによってまず最初に現れる血液の変化は「血糖値の上昇」です。糖分は身体を動かす大切な燃料ですが、いちどにそうたくさんは要らないので余った分は脂肪として蓄えられます。そのときに必要なのがインスリンという膵臓から分泌されるホルモンです。
肥満するとこのインスリンの効き目が悪くなり、血糖値がいつも高いままになることがあります。これが糖尿病です。血糖値の高い血液(いわゆるドロドロの血液)がいつも血管を流れていると動脈硬化の進行が早くなります。糖尿病の合併症として眼の網膜が障害されたり、腎臓の機能が低下したりするのは末梢の動脈がダメージを受けることが原因です。これが陰茎海綿体の動脈で起きるとEDの症状が出てきます。
コレステロールが増える
また、肥満の人は多かれ少なかれ脂質異常を起こしています。これは血液中の中性脂肪とLDL(悪玉コレステロール)が増えてHDL(善玉コレステロール)が減る病気です。脂質異常も動脈硬化を早める要因になります。
血圧が上がる
さらに、肥満すると身体が重くて心臓に負担がかかるだけでなく、血液の量が増えることでも心臓や血管に負担をかけます。血圧が上がるのです。高血圧が長年続くと血管の内皮に傷がつき、そこにコレステロールが付着し血栓を作る原因になります。この血栓が心臓の血管に詰まると心筋梗塞、脳の血管に詰まると脳梗塞になります。
お腹ポッコリの内臓脂肪型肥満に高血糖値、高血圧、高脂血症が重なるとメタボリックシンドロームと呼ばれます。「メタボ」の予防が強調されるのは、これらのリスク要因をまったく抱えていない人に比べると動脈硬化の進行が異常に速く、脳梗塞などの突然死の原因になる病気になりやすいからです。
睡眠時無呼吸症候群のリスクも高くなる
肥満はのどの周りの脂肪を厚くするので睡眠時無呼吸症候群にもなりやすくなります。
間欠的な呼吸停止はときに突然死の原因にもなりますが、そこまでいかなくても睡眠の質を大きく低下させて、昼間の強い眠気、居眠りの原因になります。
交通事故や大きな産業事故の陰に睡眠時無呼吸症候群があった例は少なくありません。