食欲を抑える、やせ薬でダイエットするのは危険ですか?
脳の神経伝達物質に作用して食欲を抑制する薬(食欲抑制剤)は、高度肥満の患者に対して医師の管理のもとに使用する薬です。一般の人が自己判断で美容目的のダイエットに使用するのはたいへん危険です。
ダイエット補助薬の成分として使用されていた食欲抑制剤の中には、精神障害やうつ病、自殺傾向、心臓発作、脳卒中など、深刻な健康被害が問題になり欧米や日本では使用禁止になったものが多々あります。
食欲抑制剤とはどんな薬ですか?
ヒトは食事をして血糖値が上がると脳内にセロトニンという神経伝達物質が増えて、満腹感を感じます。食欲抑制剤は脳のセロトニン受容体に作用して食事をしなくてもセロトニン濃度を上げ、食欲をおさえる働きがあります。
しかしセロトニンに対するこの作用は、抑うつ症状や睡眠障害を起こす場合があることが分り、いくつかの薬は承認後に販売中止になっています。 特にアメリカFDA(食品医薬品局)は、食欲抑制剤の危険な副作用のため米国での販売を厳しく制限しています。
精神障害の副作用の他に1990年代に欧米で出回ったフェンフルラミンという薬は、心臓弁膜症と肺高血圧の副作用があることが分米国FDAの要請で市場から回収されました。
食欲抑制剤はどのように使う薬ですか?
日本ではマジンドールと(日本名サノレックス)いう薬だけが厚生労働省に承認されていますが、医師による処方箋薬でBMI35以上という高度肥満の人だけに使用されるという制限があります。BMI35以上というと身長170pの人では体重101キロ以上にあたります。
サノレックスは、脳の食欲中枢と呼ばれる満腹感を感じさせる中枢神経に作用し、血圧と心拍数を高めて「擬似的に」満腹感を感じさせて食欲を抑制する作用があります。
成分マジンドールは、覚せい剤とよく似た構造で、脳の覚醒を引き起こす可能性がありますが、適量であれば覚醒の前に食欲を抑制する作用があるとされています。米国FDAではマジンドールの使用が日本より厳しく限定されて、ダイエット目的では処方されません。
食欲抑制剤の種類 シブトラミン (Sibutramine)
セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害するSNRIの1種ですが、抗うつ剤ではありません。食欲抑制の効果がありますが、循環器系への副作用がしばしば問題になり、日本では2009年に申請が却下されています。
シブトラミン配合の食欲抑制剤は、『リダクティル(Reductil)』、『メリディア(Meridia)』、『リデュース(Reduce)』、『オベスタット(Obestat)』などの商品名で販売されています。
米国FDAは、シブトラミン配合の医薬品が心臓発作や脳卒中のリスクを高めるとして成分配合の医薬品は米国市場で販売がされていません。
リモナバン (Rimonabant)
脳内のカンナビノイド受容体を阻害し、食欲を減退させる作用があります。使用者の約10%にうつ病の症状が出ることが分り、欧州では現在発売停止中で、米国でもFDAが承認を拒否しています。
リモナバン配合の食欲抑制剤は、アコンプリア(Acomplia)という商品名で販売されています。アコンプリアは精神障害や自殺傾向につながるリスクから、欧州や米国では販売許可が下りていません。
食欲抑制剤と拒食症
拒食症は精神障害によって自分の体型や体重を客観的に把握することができなくなる病気です。非常にやせているのにもかかわらず、セルフイメージとしては太っていてもっとやせなければならないと思うようになります。
食欲抑制剤によるダイエットはこのような精神障害を引き起こしやすいダイエット法と言われているので、使用には充分な注意が必要です。
安全な肥満治療薬のオルリスタットとは?
欲抑制剤は脳の神経伝達物質に作用するため、特に米国FDA(食品医薬品局)はそれらのやせ薬の米国での販売を禁止しています。その代わりに、服用の安全性が認められている肥満治療薬が、スイスの製薬メーカーロシュ社が開発して有名な『オルリスタット』配合のゼニカルです。
ゼニカルには同成分オルリスタット配合のジェネリック(後発薬)も多数開発されている人気の肥満治療薬で、国内外の肥満外来や美容クリニックでは必ず推奨されるダイエット薬です。
ゼニカルの成分オルリスタットを脂肪の多い食事と一緒に服用することで、摂取した脂肪分の30%を排出します。この作用で脂肪からの高カロリーを抑えて便として自然排出することができるのです。
体重を減らすために短期間に食事量を制限したり、同じものだけを食べたり、タンパク質や脂肪を含む食品を極端に減らす方がいますが、非常に健康被害のリスクが高い間違ったダイエット方法のため、決して真似をしないことが大切です。
糖質制限ダイエットをサポートする『フェーズ2(糖質ブロック)』
インスリン太りという表現をご存じですか?インスリンとは、血中のブドウ糖(糖質が分解されたもの)の量が増えると、体が使い切れない余分なブドウ糖を血中から外に押し出して血糖値を低下させるホルモンです。
インスリンが分泌されて押し出された余分なブドウ糖は、脂肪細胞に吸収されて『皮下脂肪』として体に蓄積されて、肥満の原因になります。このプロセスがインスリン太りで、甘いものや、白米、うどん、白い食パンなど、高糖質な炭水化物が好きなかたに多い肥満です。
このインスリン太りを抑制するダイエット法が『糖質制限ダイエット』です。
脂肪分の取りすぎは高カロリーのためカロリー過多で肥満の原因ですが、糖質の取りすぎによるインスリン太りも肥満の原因になります。
特にアメリカでは低脂肪(ノンファット、ローファット)の食品がたくさん消費されていますが、同時に『糖質』の摂取が非常に多い国で、それが原因で若年層にまでも肥満や糖尿病の患者が急増しています。
最近では、糖質を抑える『糖質制限ダイエット』が主流になりつつあり、甘いものだけでなく、炭水化物から加工食品まで、糖質が高い食品を抑える目的で開発されたサプリメントが『フェーズ2(糖質ブロック)』です。
フェーズ2は、そんなインスリン太り、血糖値の向上を抑える糖質ブロックサプリメントです。