低容量ピルのメリットとデメリット
ホルモンバランスの安定によってさまざまな健康効果が
経口避妊ピルには、副作用が少ない低用量ピルにも、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲストーゲン)の2種類の女性ホルモンが配合されています。これらの女性ホルモンを少量ずつ補充することで女性の身体は妊娠しているときと似たホルモンバランスになり、(さらに)妊娠することがなくなるのです。
この安定したホルモンバランスによって避妊以外にも、次のような月経に関するトラブルや更年期障害などを改善する二次的効果があります。
月経に関するトラブルの改善 美容効果
月経に関するトラブルの改善
経口避妊ピルによる疑似妊娠の効果で月経が軽くなります。それによって月経血が減るとともに生理不順も改善します。強い生理痛をともなう月経困難症も軽減します。手足の冷えや肩こりなどの身体症状の他に、イライラや怒りの発作、憂うつなどの精神症状をともなうPMS(月経前症候群)もピルの服用で改善します。
ピルの服用には避妊以外に次のような二次的な効果があります。
美容効果
ピルの服用でホルモンバランスが安定すると、ニキビや吹き出物ができにくくなります。また、乾燥肌になりにくく、肌につやと張りが生まれます。男性ホルモンが多くムダ毛が多かった人も女性ホルモンの補充で症状が改善します。
更年期障害の軽減
避妊ピルと更年期は関係ないようですが、閉経によって分泌が急激に低下する女性ホルモンを補うことで、更年期障害のさまざまな症状を軽減することができます。更年期障害は不定愁訴とも言われるように、心身のあらゆる面に症状が出る可能性があり、人によってその出かたが異なります。
いろいろな症状にそのつど対症療法をほどこしても大きな効果は期待できませんが、女性ホルモンを供給することで根本的な改善が期待できます。
骨粗しょう症、卵巣がんなどの予防
ピルの長期服用によって閉経後に増加する骨粗しょう症、卵巣がん、子宮体がん、骨盤内感染症のリスクを軽減することができます。
欧米に比べてだんぜん少ない日本のピル人口
日本では避妊ピルはドラッグストアでは購入できず、医師に処方してもらう必要があるせいもあり、欧米に比べると服用している女性の数はだんぜん少なくなっています。しかし、避妊を相手任せにせずにできるという点でも、健康上のメリットが多いという点でももっと活用されるべき薬だと言っても良いでしょう。