日本は避妊ピルの普及が遅れているのは何故?

国連加盟国で最後まで低用量ピルを承認しなかった国
2013年の国連人口部の統計によると、避妊手段として経口避妊ピルを使用する人がもっとも多いのはヨーロッパで、フランス41%、ドイツ37%、イギリス28%となっています。アメリカは16%で、ピルよりも女性避妊手術の割合が22%と多くなっています。

 

日本人のピルによる避妊の割合は1%で、韓国の2%、中国の1.2%よりも低い世界最低水準です。日本でもっとも多い避妊法はコンドームの40%で、諸外国の10〜20%台と比べて群を抜く高率になっています。

 

日本でこのように避妊ピルの使用率が低い理由の1つに、低用量ピルの承認に臨床試験の開始から9年という長い期間がかかったことがあげられます。承認されたのは1999年で、アメリカに遅れること25年、国連加盟国では世界でもっとも遅い承認でした。

 

低用量ピルの入手には医師の処方が必要

普及が遅れているもう1つの大きな理由は、低用量ピルがドラッグストアで購入できる国が少なくない中で、日本では医師に処方してもらわなければいけないことです。病院でも問診と血圧測定くらいで処方してくれるところがほとんどですが、やはり婦人科に行かなければ入手できないのは使用へのハードルになっています。

 

日本で低用量ピルがなかなか承認されなかった理由は、ピルにはコンドームのように性感染症を予防する効果はないので、当時社会問題になっていたエイズのまん延が危惧されたからだと言われています。また、一部にはピルの普及によって若い女性の性道徳が乱れるという意見もあったようです。

 

個人輸入通販で購入できるピル

ピルをクリニックで購入している女性ならわかりますが、1シートあたりの値段が高いため、海外のようにお手軽にピルを使うのは困難でしたが、、近年ではトリキュラーやマーベロンのような処方量の多いピルを個人輸入で安価に海外から購入できるようになり、日本でもピル一般化し始めたと言えるでしょう。

 

低用量ピルは女性のQOLを向上させる

日本でも最近、人工妊娠中絶は減りつつありますが、まだ年間20万件近くの中絶手術が行われています。女性が主体的に避妊できるピルの普及によって、さらに望まない妊娠の件数が減ることが期待できます。

 

また避妊ピルには避妊以外に月経困難症や月経前症候群(PMS)などを改善や、生理日を前や後にずらしたりなど、多くの二次効果があり、その点でも女性のQOL(生活の質)の向上に寄与する薬です。実際には、避妊目的よりそれらの副効能のために低用量ピルを使う女性が多いのもうなずけます。

 
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