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ピルはどんな薬なのですか?

ピル

ピル(pill)は「錠剤」のことですが、日本では「避妊用の錠剤」を指すのが普通です。

 

「ピル」は卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つの女性ホルモンが配合されたホルモン剤です。ピルで女性ホルモンを補充することで身体のホルモンバランスが妊娠しているときと同じになり、それによって妊娠を予防(避妊)するのがピルの作用です。

 

このピルのホルモンの配合をできるだけ少なくしたのか「低用量ピル」です。身体への負担が小さく、副作用も少ないのが特徴です。日本ではピルの医薬品としての承認が遅れたことや、現在でも医師に処方してもらわないと買えないことなどから、欧米に比べるとピルの普及率が低く、ピルについての誤解や偏見もまだあります。
しかし、低用量ピルが開発され、メリットについての理解が深まるとともに、日本でも使用する女性が徐々に増えています。


ピルの成分は?

ピルには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲストーゲン)の2種類の女性ホルモンが配合されています。女性は毎月、排卵と月経をくり返しますが、それをコントロールしているのがこの2つの女性ホルモンです。

 

月経の後は卵胞ホルモンの分泌が増えて、子宮内膜を充実させるとともに排卵の準備が進みます(卵胞期)。排卵の後は黄体ホルモンの分泌が増えて、受精卵を子宮内膜に着床させる準備が進みます(黄体期)。この時期に卵子が受精して、子宮内膜に着床したら妊娠が成立します。

 

妊娠しなかったときは、卵胞ホルモンも黄体ホルモンの分泌が激減して、子宮内膜が剥落し月経がはじまります。

 

これらの生理作用のいわばゴー・ストップサインを出すのが女性ホルモンの働きですが、ピルは女性ホルモンを服用することで自然のホルモンバランスに変化を与えて妊娠を防ぐ働きをします。

どうしてピルを飲むと避妊できるの?

女性は卵胞ホルモンの分泌が増える排卵前の低体温期と、黄体ホルモンの分泌が増える排卵後の高体温期が「生理周期」を形づくっています。それによって毎月排卵がおきて、子宮内膜が育ち、新たな妊娠の準備態勢が作られているのです。

 

しかし、妊娠するとこの2つの女性ホルモンは常に一定量が安定して分泌されるようになります。ピルを服用して卵胞ホルモンと黄体ホルモンを補給していると、ホルモンバランスが「妊娠した状態」に近くなります。この疑似妊娠によって卵巣や子宮が「妊娠中」のサインを出すので実際の妊娠を防ぐことができます。

 

具体的には、ピルを服用すると身体に次のような変化が起こり、妊娠しなくなります。
・排卵が休止する
・精子が子宮頸管を通りにくくなる
・受精卵が子宮内膜に着床しにくくなる

 

これらはいずれも妊娠のサインによっておきた身体の変化です。このうち1つでもあれば妊娠は成立しませんが、ピルはいわば二重、三重の関所で妊娠を防いでいることになります。

日本は外国に比べてピルはあまり普及していないと言われるのは何故?

ピル(経口避妊薬)は1960年にアメリカで初めて承認されました。1973年に副作用の少ない低用量ピルが開発されてからは欧米を中心に世界中の女性に使用されるようになりました。

 

しかし日本では避妊薬として低用量ピルが認可されたのはアメリカに遅れること約40年の1999年でした。1990年に認可が申請されてから9年という異例の長期審議を経ての「解禁」でした。認可された1999年当時、国連加盟国で未承認だったのは日本だけというありさまでした。

 

日本がピルの解禁に慎重だった理由はいろいろあるようですが、その中の1つがコンドームの使用率の低下によってエイズ(HIV)の感染者が増えるのではないかという意見です。

 

そんなわけで日本ではピルが解禁になってからまだ十数年の歴史しかなく、50年以上の使用実績がある欧米に比べると一般の理解や知識もまだ充分ではありません。ピルに対する誤解や偏見も根強く残っているようです。

低用量ピルとは何ですか?

低用量ピルとは成分の卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量をできるだけ少なくした、ピル(経口避妊薬)です。低用量ピルは従来の中・高用量ピルにあった、吐き気などの「つわり」に似た症状、手足のむくみ、体重の増加などの副作用が少なくなっています。

 

現在は経口避妊薬は低用量ピルが主流で、中・高用量ピルは緊急避妊用のアフターピルや月経困難症の治療などに使われています。

 

低用量ピルは成分の配合量が少なくても正しく飲めばほぼ100%の避妊効果があります。月経周期に合わせて3週間毎日服用し、1週間服用を休むのが基本です。

 

低用量ピルには毎日同じ配合成分の薬を飲む「一相性ピル」と月経周期によってホルモンの配合量が違う薬を飲む段階型ピル(「二相性ピル」と「三相性ピル」)があります。

 

低用量ピルには「28錠タイプ」と「21錠タイプ」がありますが、その違いは服用を休止する1週間に飲む「偽薬(プラセボ)」がセットされているかいないかということです。

 

なお、日本では低用量ピルも一般の薬局では販売されておらず、医師に処方してもらうか、個人輸入通販であれば個人の使用に限り「処方箋なし」でもピルを購入できます。

ピルについてのよくある誤解や偏見とは

日本で低用量ピルが承認されたのは1999年で、諸外国に比べて使用歴が浅く、ピルに対する誤解や偏見もまだあるようです。なかでもよく見聞きするのは次のような誤解です。
?ピルを飲むとがんになる

 

女性ホルモン剤を長年にわたって服用すると乳がんのリスクが高まると指摘されていましたが、低用量ピルではそのリスクはほとんどありません。逆に低用量ピルの服用で卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスクが明らかに減少することが分っています。
・ピルを飲むと卵巣に休み癖がついて不妊症になる

 

これはまったく根拠のない誤解で、むしろピルを飲むことで生理不順が治ったり、卵巣機能が改善したりと、将来の妊娠のために役立つことが多いのです。もちろんピルの服用を中止すると2ヵ月くらいで排卵は再開します。
・ピルを飲むと太る

 

ピル自体が肥満の原因になることはありません。ピルの飲み始めに見られる顔のむくみを太ったと誤解している場合もあるようですが、これは飲み慣れると解消します。

 

ただしピルを飲むと身体が疑似妊娠状態になるので「食欲が増進する」ということはあるようです。ピルを飲むようになってからお腹がすくようになったという場合は、食欲に任せて食べる量を増やさないように注意する必要があります。

ピルの服用方法は?

ピルは毎日忘れずにのむことがいちばん大切です。21日間服用して7日間服用を休むのが基本ですが、その7日間に偽薬を飲む「28錠タイプ」の薬もあります。

 

ピルの服用でもう1つ注意しなければいけないのは、服用開始のタイミングです。月経の初日に飲み始めるタイプが多いのですか、月経がはじまってからの日曜日に飲み始めるサンデースタートなどの飲み方もあります。薬の説明書をよく読んで間違えないように注意しましょう。

 

ピルには毎日同じ薬を飲む「一相式ピル」と生理周期に合わせてホルモンの配合量が違う薬を飲む「段階式ピル」があります。どちらも避妊効果は確かですが、服用の二次的な効果などに若干違いあるので、自分に合うものを選ぶ必要があります。

ピルはどこで購入したらよいのですか?

ピルはドラッグストアなどでは買えない薬です。購入するには医師の処方箋が必要です。また、避妊は病気の治療ではないので健康保険は適用されず、診察も薬代もすべて自己負担になります。

 

気になるのは初診でどういう診察があるかです。内診台に上がらなければならないとなると、二の足を踏む女性もいるでしょう。これは病院によってまちまちですが、2006年にガイドラインが改訂になり、必ずしなければいけない検査は血圧測定だけになりました。

 

改訂前は非常に多くの検査項目がありましたが、「欧米ではドラッグストアでも販売している安全な薬なのになぜ?」という声が強く、大幅な簡略化が実現しました。以前は産婦人科学会でも副作用が強調される傾向にあったピルですが、最近は生理痛がなくなる、卵巣がんのリスクが減るなどの二次効果が広く認められるようになりました。

 

初診ではまず問診票にいろいろな項目を書き込み、それによって必要な検査があれば追加されることがあります。

 

ピルはインターネットを通じての個人輸入でも入手できます。この方法だと病院では処方されないジェネリック医薬品を購入することもできるのでコストが安くなる可能性もあります。

ピルを服用すると毎月の費用はどれくらい?

ピルは1シートが28日分なので、1シートの価格が毎月の費用ということになります。病院でピルを処方してもらうときの1シートの価格は、病院によって異なりますが2000〜3000円くらいです。

 

初診のときは薬代以外に2500円前後かかりますが、これも病院によって異なります。もちろん検査項目が増えると費用も高くなります。検査によっては健康保険が使えるものもあります。

 

インターネットの個人輸入でピルを入手することもできます。その場合はジェネリック医薬品の利用や何箱かのまとめ買いなどで、1シート500円くらいまでコストダウンすることが可能です。

ピルにはどんな種類があり、どう選んだらよいのですか?

まずピルには女性ホルモンの配合量によって、 以下のの3種類があります。
・低用量ピル
・中用量ピル
・高用量ピル

 

通常の避妊ピルとして服用するのは低用量ピルです。中・高用量ピルは、月経困難症や無月経の治療、あるいは緊急避妊用のアフターピルとして使われます。

 

低用量ピルには毎日同じ成分配合の薬を21日間服用する「一相性ピル」と生理周期に合わせて成分配合が違う薬を飲む「三相性ピル」があります。三相性ピルは色分けされた6錠+5錠+10錠の21錠を1日1錠21日間服用します。

 

どちらも正しく服用すればほぼ100%避妊できるので、避妊効果の差はありません。副作用では、人によって三相性を服用すると体毛やニキビが増えることがあると言われています。

 

この他に21錠タイプと28錠タイプという区別がありますが、これは薬の種類ではなく、ピルを服用しない7日間用に女性ホルモンをまったく含んでいない「偽薬(プラセボ)」をセットしたものが28錠タイプです。

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