子宮筋腫
女性の4〜5人に1人は発症する、婦人科系ではもっとも多い病気です。子宮筋腫は良性の腫瘍で生命には関わりませんが、強い生理痛の原因になります。これから子どもを作ろうという女性にとっては不妊症の原因になります。
筋腫の大きさや数は人によって違いますが、女性ホルモンのエストロゲンの分泌によって起きるので、閉経後は筋腫は小さくなります。しかし、毎月月経のときに強い痛みがあるので、もちろん閉経まで辛抱するというわけにはいきません。
治療には手術で子宮をあるいは筋腫だけを切除する方法と、薬物療法があります。薬物療法には、ホルモン療法で一時的に閉経状態を作る方法と、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル)を服用する方法があります。
低用量ピルは月経痛や月経量の軽減に効果を発揮するだけでなく、ホルモン療法で擬似的に閉経状態をつくる(偽閉経療法)での副作用がないため、特に月経困難には一般的に使用されます。
どの治療を選択するかは、年齢や症状によって医師と相談しながら決めます。月経痛の痛みは鎮痛剤で和らげることができますが、低用量ピルの使用が一般的です
子宮内膜症
受精卵が着床するベッドになる子宮内膜が、子宮以外の場所でも発達して周期的に成長と剥落をくり返す病気です。強い生理痛があるほか、卵巣などにチョコレート嚢胞とよばれる血液のかたまりができることがあります。
子宮筋腫と同じエストロゲン依存性の病気で、女性の10人に1人が発症するといわれています。妊娠経験がない、初潮年齢が低かったなど、結果的に月経の回数が多かった女性が40代になって発症するというのが典型的なケースです。
治療にはやはり手術と薬物療法の選択肢があり、薬物療法では、子宮内膜症の症状緩和にも子宮筋腫と同じく「低用量ピル」が使用されます。低用量ピルは月経痛、月経困難、月経量の軽減につながります。
将来妊娠を希望するかなど、ケースバイケースで選択します。痛みを抑えるには痛みの原因となるプロスタグランディンの分泌を抑える薬が処方されます。
乳がん
乳がんも妊娠経験がない、初潮が早かったなど、エストロゲンの分泌する器官の長かった人が発症しやすい病気です。乳がんには日本の女性の18人に1人が罹患し、年々罹患率が高くなる傾向にあります。
乳がんは早期発見で治る確率の高いがんなので、「定期健診・早期発見」が何より大切です。
卵巣嚢腫(のうしゅ)
卵巣にできる良性の腫瘍で、分泌液がたまって袋状にふくらんだものが卵巣嚢腫です。若い女性にも発症する可能性があり進行すると不妊症の原因になりますが、自覚症状がほとんどありません。
早期発見には定期的な婦人科診断が必要です。治療は手術と経過観察に分れますが、手術で卵巣の片方を摘出しても妊娠の可能性はあります。
子宮頸がん
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)というウィルスの感染が原因でできるがんで、性行為のときに感染すると考えられています。したがって性行為でのコンドーム使用が予防に効果があります。
HPVに感染しているかどうかは子宮の入り口から粘液のサンプルを取ることで簡単に検査することができます。早期に発見すると治癒率が高く、妊娠・出産も可能です。