糖尿病はなぜEDの原因になるの

糖尿病 ED

糖尿病になるとインポになるというのはよく聞く話です。たしかに糖尿病はさまざまな合併症を起こす病気でそのひとつにEDもあります。しかしED治療薬の効果がないくらいにEDが進行するのはかなり重症の糖尿病で、糖尿病になったら必ずEDになるというものではありません。

 

糖尿病がEDの原因になるのは、血糖値の高い血液が毛細血管にダメージを与えるからです。ペニスを勃起させるには陰茎海綿体に張り巡らされた細い陰茎動脈に血液が満たされなければいけませんが、毛細血管が障害されるとこの機能が低下するのです。

 

また、人の神経に栄養を与えているのもたいへん細い血管です。この血管が詰まったりすると神経のはたらきが障害を受けます。これが糖尿病による神経障害で、勃起神経にもダメージを与えることがあります。

 

糖尿病の合併症としては、目の網膜の血管を傷害する糖尿病網膜症や足の血管や神経を傷害する壊疽などがありますが、EDもその1つです。もちろんこのような合併症は正しい血糖値コントロールで予防することができます。


 

肥満、メタボがEDの原因になるって本当?

単に太っていることがEDの原因になることはありませんが、メタボリックシンドロームとなると話が違います。メタボはEDの大きな原因になるばかりではなく、脳卒中や心臓発作のリスクを何倍にも高める怖い病気なのです。

 

メタボというのは、お腹まわりが大きくなる内臓脂肪型肥満に、高血圧、高血糖値、高コレステロールのうちの2つ以上が加わった症状です。その目安になる数値(日本肥満学会)は次の通りです。

 

メタボリックシンドロームとは腹囲男性が85cm、女性90cm以上で、@〜Bの2つ以上に当てはまる症状。

 

@血圧130/85mmHg以上。

 

A中性脂肪150mg/dL以上またはHDLc40mg/dL未満。

 

B血糖110mg/dL以上。

 

こういう症状が重なることで起きるのが「血管の急速な老化」です。つまり動脈硬化が年齢に比べてたいへん早く進行してしまうのです。@〜Bの数値はそれぞれ単独ではまだ糖尿病とか高血圧症とは診断されない「予備軍」の値です。しかしそれが複数重なることで1つ1つは予備軍の数値でも動脈硬化の原因になるのです。

 

動脈硬化はとくに毛細血管や神経を障害するので、勃起にはたいへん悪い影響を与えます。まったく勃起しないところまでは行かなくても、血管の若さが次第に失われていくことで充分な硬さが得られない、途中で中折れしてしまうなどの症状が出てきます。

 

タバコはEDに影響するの?

タバコがただちにEDの原因になるとは言えませんが、EDを治療しようと思ったら禁煙はほぼ絶対の条件になると思ってください。

 

タバコに含まれるニコチンの最も劇的な作用は、吸収された瞬間に毛細血管を収縮させることです。タバコ吸うと一瞬指先などの皮膚の赤みが消えて、体温も下がります。これは毛細血管が収縮して末端への血行が阻害されたからです。

 

EDは何かの原因でペニスの毛細血管への血行が阻害される症状で、バイアグラなどのED治療薬は細い陰茎動脈を拡張させて勃起を促す薬です。つまり、例えばバイアグラを飲みながらタバコを吸っているのは、片手ではライターで火をつけようとしながらもう一方の手で水をかけているようなものなのです。

 

健康な人でも喫煙は糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクを増すとして、できるだけ禁煙することをすすめられています。すでに何らかのED症状がでているときは、とくに生活習慣病による血管の老化(動脈硬化)の進行に注意しなければなりません。

 

そのためにまずは禁煙することが大切です。タバコを止めたらからといってすぐにEDが治るわけではありませんが、血管の若さを保つことが長生きの秘訣であり「男の元気」を保つ秘訣でもあるからです。

 

前立腺肥大とEDは関係があるの?

前立腺は膀胱のすぐ下にある男性特有のクルミほどの大きさの臓器で、その中心に尿道が通っています。前立腺は精液に前立腺液を供給するなどの働きをしていますが、60歳代を過ぎるとほとんどの男性に前立腺肥大の傾向が出て、尿道を圧迫するようになります。

 

年齢とともに多くの男性が経験するのが前立腺肥大なので、EDと併発していることが多いのはある意味で当然ですが、この2つにどういう関係があるかはよく分かっていません。ただ、50歳以上でEDの症状がある男性は、同時に前立腺肥大による小水の「切れのわるさ」を自覚している人が多いのは事実です。

 

ED治療薬のシアリスの成分「タダラフィル」が最近日本でも前立腺肥大の治療薬としても承認されて話題になっています。ED治療薬は陰茎平滑筋の緊張を解くPDE5阻害薬ですが、前立腺平滑筋や膀胱平滑筋にもPDE5が多く存在して筋肉を緊張させ排尿困難の原因になっています。タダラフィルには勃起を助ける作用とともに、排尿を楽にする作用もあることが認められたのです。

 

前立腺肥大の手術のときに勃起に関係する神経を切断してしまうことがあり、後遺症としてEDが発生することがありましたが、最近は手術の方法も改善されて侵襲性の少ない手術が選択されています。

 
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