睡眠のリズムと不眠

ヒトには「概日周期」という約24時間周期の覚醒と睡眠のリズムがあります。このリズムを刻むのが脳内時計で、その指令にしたがって睡眠ホルモン(メラトニン)が分泌されて、私たちを眠りに誘ったり、目覚めさせたりしています。

 

不眠はこのリズムが乱れた状態で、その原因はストレスや病気、生活習慣の乱れなどで脳内ホルモン(脳内神経伝達物質)の分泌が低下したり、分泌のバランスが乱れることです。

 

ストレスと不眠

眠りにつくには自律神経の副交感神経が優勢になってリラックスし、脳の体温が低下しなければなりません。しかし無意識にでも心にかかるストレスがあると、布団に入っても交感神経の興奮が続き入眠が困難になります。

 

このタイプの不眠は問題が解決してストレスが解消すると、不眠も解消します。そう簡単にストレスは解消しないという場合は、メラトニンや睡眠導入剤で一時的に緊張をほぐすことで眠りにつくことができます。

 

日常生活では、運動をしてある程度からだを疲れさせること、夜はパソコンのゲームなど神経を興奮させることを避けてリラックスすることで、眠りにつきやすくなります。

 

メラトニンとは

メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれ、夕方から夜に分泌量が増えて眠りに誘いますが、ストレス、加齢、ホルモンバランスの乱れ(女性)などで量が減り、睡眠時間の短縮、眠りが浅くなるなどの症状として現れます。

 

子供はメラトニンの分泌量がとても多いためよく眠れ、年を取ると減るので老化が進みます。メラトニンは質の高い睡眠を得てアンチエイジングとしても広く服用されている睡眠補助です。

 

メラトニンは欧米や東南アジアでは薬局で買える睡眠改善商品ですが、日本では医薬品扱いになります。メラトニン服用でこのような感想を持たれる方が多いですね。

 

うつ病と不眠?

うつ病は脳内ホルモンのセロトニンが不足するのが原因と言われています。人の昼間の活動を活発にする作用があるセロトニンが不足すると、それが入眠をうながすメラトニンの不足につながって不眠症の原因になります。

 

うつ病が原因の不眠をなくすには、SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)などの抗うつ剤で脳内のセロトニンの量を増やしてやる必要があります。

 

生活リズムの乱れと不眠

人の概日リズムと脳内時計は朝に日光を浴びることでリセットされます。セロトニンが分泌されて昼の活動モードに入るのです。このように人は、昼間起きて夜寝るようにできているので、昼夜逆転の生活はもちろん極端な夜型生活も睡眠リズムが狂いがちです。

 

朝起きて日光を浴びる、昼間活発に活動する、夜はゆっくり休息する、という自然な生活リズムが良い眠りをもたらしてくれます。

 

朝日を浴びることでセロトニンが分泌されるため、うつ病患者は朝日を浴びることが非常に大切です。多忙でストレスを感じている人が週末に昼過ぎまで「寝だめ」をして朝日を浴びない、という人が多いですが、脳の健康に悪影響となります。

 

睡眠時無呼吸症候群と昼間の眠気

肥満気味の中高年男性に多いのが、寝ているときに大きなイビキをかき、ときどき十数秒間呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」です。これは寝ているときに弛緩した舌が軌道をふさぐのが原因です。

 

寝ているときの症状なので本人は気が付かないことが多いのですが、睡眠の質が落ちて昼間突然耐え難い眠気に襲われるのが特徴です。車の運転中などに眠気に襲われるとたいへん危険です。

 

睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に気道がふさがるのを防ぐマウスピースなどを使って治療します。

 

その他の不眠症の原因

その他の不眠症の原因としては次のようなものがあります。

 

・加齢による睡眠の質の低下(中途覚醒や早朝覚醒など)
・更年期障害による自律神経の失調
・逆流性食道炎による睡眠中の胸焼け
・十二指腸潰瘍の早朝疼痛
・甲状腺機能障害
・糖尿病

 
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