睡眠のリズムを作る睡眠ホルモン

夜メラトニンが分泌されると眠くなり、朝セロトニンが分泌されると目が覚める、という「睡眠ホルモン」の話を聞いたことがあると思います。体内時計が正常にはたらいているときは、睡眠や覚醒をうながすこれらのホルモンも正常に分泌されて、1日の快適な生活リズムが刻まれます。

 

地球上で進化した動物や植物にはおおよそ24時間周期の生理的なリズム(概日リズム)があります。動物ではたいがい明るくなると目が覚めて、暗くなると眠くなるというリズムですが、タヌキやアライグマのように暗くなると動き出す夜行性のものもいます。

 

ヒトの場合はこの周期がなぜか24時間+αと少し24時間より長くなっています。そのままだと+αが積み重なって実際の昼夜とのズレが大きくなるので、太陽の光を浴びて体内時計をリセットするという機能がヒトには備わっています。

 

快眠は自然のリズムに寄り添うことで得られる

体内時計は脳の中心部の松果体というところにあると考えられています。この時計が朝になるとセロトニンを分泌させる指令をだして私たちを覚醒させて昼の活動に誘い、暗くなるとメラトニンを分泌させて眠りに誘うのです。

 

何十年ももつ優秀な時計ですが、メンテナンスが不要なわけではありません。朝日を浴びてリセットするのがその1つですが、夜は少し大人しくして眠気の訪れを待つという態度も必要です。

 

文明の進歩で夜も電気をつければ明るいし、パソコンやスマホでSNSやゲームを楽しむこともできます。しかし人はアライグマではないので、やはり昼おきて夜寝るようにつくられています。何万年もかけてそういうふうに進化してきたのですから、昼夜逆転の生活をするのはムリがあります。深夜まで刺激の多い時間が続くと、睡眠の質はどうしても低下するのです。

 

メラトニンの分泌をじゃましない

人は目が覚めてから15〜16時間すると、セロトニンの分泌が止まってメラトニンの分泌が始まります。メラトニンは脳の興奮をしずめて、体温や血圧を下げて眠りを催すホルモンです。昼間セロトニンの分泌が多い、つまり活発に活動するほど、夜のメラトニンの分泌も多くなると言われています。

 

しかし昼の活発で刺激的な活動を夜遅くまで持ち越すと、メラトニンの分泌が悪くなってしまいます。夜10時ころから始まるメラトニンの分泌は午前2時ころにもっとも多くなると言われています。そのころに明るい光の下で夢中でゲームなどをしているとメラトニンは分泌されずに睡眠のゴールデンタイムが過ぎてしまいます。

 

メラトニンがじゅうぶん分泌されずに睡眠不足で翌朝目が覚めると、日中のセロトニンの分泌が悪くなり、それがその夜のメラトニンの分泌をさらに減らすという悪循環になります。

 

メラトニンを補充して快眠

眠りを誘う睡眠ホルモンのメラトニンは、子供の頃に最も多く分泌されて歳とともに減って行きます。老人になるとメラトニン量が非常に少ないため睡眠時間がとても短くなるのです。

 

メラトニンは生活習慣やストレスでも分泌量がへるため、睡眠障害、不眠症の方はメラトニンを補充して睡眠の質を高めることができます。

 

眠りにつけない、途中で目が覚める、朝起きても疲れが取れないという方や、時差ぼけの解消、睡眠によるアンチエイジングにもメラトニンは重宝されます。

 
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